東京から大阪まで自転車で走ったときのこと。
2年ほど前、
数ヶ月間だけ東京に住み、契約期間が終わったため、関西に帰ることになった。
ふと、帰りはおもしろい帰り方がしたいと思い、自転車で帰ってみることにした。
1日目、
台風通過直後であったが、家の契約期間の関係で出ざるをえない。
とりあえず家を出て、ひたすら品川方面へ進む。
風が本当に強く、防ぐもののない橋の上は自転車ごと本気で飛ばされそうになる、いや現に壁に一度叩きつけられた。
人もときどき風が強すぎて転倒している。
テレビでは見たことある光景であったが、実際に風が強すぎて人が飛ばされるなんということが起こっているのは、初めて目の当たりにした。
この日は短めに、大森付近まで走って、ネットカフェに宿泊することにした。
ネットカフェに宿泊すると、ついつい睡眠以外のことに時間を使ってしまいがちで、本を読んだり、ドリンクバーに夢中になってしまう。
2日目の朝、
ネットカフェを出て、近くの大森貝塚に立ち寄ってみる。
教科書でよく見る大森貝塚、なかなか立派に整備されていて、無料にしては楽しめるくらいにいろいろ置いてあった。
大森貝塚を出て、横浜方面へ向かう。
台風一過とあり、すごく天気がよい。
ひたすら国道1号と脇道を走り、横浜近辺に着いた。
横浜は、噂に聞く以上に都会であった。
関西の神戸とよく比較されるのは聞くが、神戸とは比べ物にならないくらい全体的に建物が高く、多い。
観覧車に大桟橋、カップヌードルミュージアムに赤レンガ倉庫、いろいろと観光として楽しめそうな場所が多くあった。
大桟橋は、桟橋というか、建物というか、本当に大きかった。
港の見える丘公園にも行き、景色を見てから鎌倉方面へ。
横須賀もとても気になるのだが、時間がなかったため今回はスルー。
ひらすら自転車をこぎ続け、鎌倉にたどり着いた。
自転車は、向かい風や登り坂でなければ、トップスピードに乗れば原付よりも速かったりする。
何も知らない人からすれば、1日でこんなにも移動できるのかと驚かれるものだ。
鎌倉は、やたらと寺院が多かった。
鎌倉の大仏だけ見学し、大仏の内部にも入ったのだが、大仏の中がこんなにも空洞であるとは思いもしなかった。
この感じだと、全国の大仏の中を調べたら何か財宝や昔の遺体が見つかるのではないかと思った。
鎌倉はとても観光客や修学旅行生が多かった。
鎌倉を出て、次は江ノ島へ。
少し走っただけで到着した。
江ノ島もまた観光地で、島が飛び出ていておもしろい形状をしている。
それに、結構狭い島なのに、所狭しといろいろ設置され、整備されていておもしろい。
江ノ島最深部まで進み、折り返して次の目的地へ。
自転車旅は、暗くなる前に移動しなければと、せわしなくなる。
次は小田原。
小田原城に立ち寄った。
名前だけは聞いたことがあったが、想像以上に広く、天守閣?がしっかりと残っていて綺麗だった。
そして小田原を抜けて、次はいよいよ箱根峠へ。
箱根峠は自転車乗りからすると、聖地のような場所らしい。
箱根峠を登り始めた時点で夕方5時。
少し嫌な予感はしていたが、やはり峠を登りきる前に、あたりは真っ暗になってしまった。
そして、街乗りよう自転車の私にはなんとも登り坂がキツい。
峠にありがちなグネグネした道で、カーブの折り返しではペダルを踏みきれないこともある。
暗闇の中、自転車を漕いで登っていると、100mほど先に大きな影が見えた。
イノシシであった。
イノシシはこちらの存在に気付き、驚いて去っていったが、こちらも驚きのあまり、100mほど登ってきた坂を下ってしまった。
おそるおそる、再び登り、気づいたら恐ろしさのあまり、必死にすごい速さで自転車を漕いでいた。
そして、峠の頂上に着いた。
国道1号最高地点である。
はるか昔からある国道1号、そしてその最高地点、先の見えない登り坂、感無量であった。
ここからはほとんどひたすら坂を下る。
と見せかけて箱根の街を超えたらまた登りもあったが、基本的には下り続ける。
沼津に着いた。
そしてこの日は沼津のネットカフェにて就寝。
ネットカフェなのに、猫ルームのある猫カフェ着きネットカフェで、少し変わったおもしろさのあるところだった。
続く。